乾癬とは
乾癬の患者さんの90%くらいは尋常性乾癬です。「かんせん」という名前からうつるものと思うかもしれませんが、他人に感染する病気ではありません。 尋常性乾癬になると皮膚が赤くなり、盛り上がり、表面は白くかさかさして、それがフケのようにボロボロと剥がれ落ちます。体のあちこちにできますが、頭、肘、膝、腰など外からの刺激を受けやすいところに多い傾向があります。約半数にかゆみが生じ、2~4割に爪の変形が起こります。日本では乾癬の患者さんは約300人に1人で、男女比は2:1で男性に多いです。良くなったり、悪くなったりを繰り返す、経過の長い病気です。 尋常性乾癬以外に、乾癬に関節症状を伴う乾癬性関節炎(関節症性乾癬)、乾癬の皮疹に小さい白または黄色の膿(膿疱)を伴い、発熱などの全身症状が生じる膿疱性乾癬、乾癬の皮疹が全身に広がり皮膚全体の80%以上が赤くなってしまう乾癬性紅皮症、子供や若い方に多く、風邪や扁桃炎などの感染症にかかった後に、1㎝くらいの小さなカサカサした赤い皮疹が全身に生じる滴状乾癬があります。 広島市安佐南区で乾癬にお悩みの方は、ましの皮ふ科クリニックにお気軽にご相談ください。 以下、尋常性乾癬について述べます。
尋常性乾癬の原因
原因は分かっていませんが、乾癬になりやすい遺伝的素因があり、環境因子(感染症、ストレス、不規則な生活や食事、特殊な薬剤など)が加わることで発症すると考えられています。
尋常性乾癬の治療方法
外用療法
⑴ ステロイド外用薬
炎症を抑える作用があります。軟膏、液体、クリーム基材以外に、頭は頭皮につけて15分で洗い流すというシャンプータイプの薬もあります。シャンプータイプは副作用が出にくいというメリットがあります。
⑵ ビタミンD3外用剤
皮膚の細胞に働きかけて、異常な増殖を抑える作用があります。
⑶ ステロイドとビタミンD3の配合剤
1日1回の外用で済み、それぞれを単独で使うよりは、効果があります。
光線療法
現在は主にナローバンドUVB療法、エキシマライト治療が行われます。皮膚の細胞増殖や炎症を抑制する作用があります。当院ではナローバンドUVB療法を行っています。
内服療法 ※中等症から重症の方が対象となります。
⑴ アプレミラスト(商品名オテズラ)
活性化した免疫細胞・表皮細胞のバランスをとる免疫調整薬です。少し高価ですが、比較的副作用が少ない薬です。
⑵ エトレチネート(商品名チガソン)
皮膚の角化異常を抑える薬です。副作用として、唇がカサカサして荒れたり、手足の皮がむけたりすることがあります。また肝機能障害、中性脂肪の上昇が出ることがあるため、定期的な血液検査が必要になります。避妊が必要です。
他、シクロスポリン(商品名ネオーラル)メトトレキサート(商品名リウマトレックス)
デュークラバシチニブ(商品名ソーティクツ)がありますが、副作用のチェックが必要であり、当院では処方をしていません。
注射療法 ※主に重症の方が対象となります。
生物学的製剤が現在(2024年2月)12種類あります。免疫に関わるサイトカインの働きを弱める薬です。乾癬では、サイトカインが増加しており症状を引き起こしていると考えられています。高価で、感染症などの副作用のチェックが必要であり、当院では行っていません。
日常の注意点
肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症と合併しやすく、関連が指摘されています。これらの病気のある方は、きちんと治療を行いコントロールしましょう。
衣服でこすれたり、皮膚を掻いたりすると悪化します。衣服はゆったりとした柔らかい素材のものを選びましょう
風邪などの感染症にかかると悪化することが多いので、気を付けましょう。
ストレス、喫煙、高脂肪食は悪化させることがありますので、できるだけ避けましょう。
皮膚への刺激で悪化するので、カサカサを取るために、剝がしたり、こすったりするのは避けましょう。